タイヤ交換を検討している際、サイズ表記の後ろにある「91H」のような数字やアルファベットの意味が分からずお困りですか。
この数字は「ロードインデックス(LI)」と呼ばれ、純正と違う数値を選んでしまうと、車検に通らなかったり、走行中にバースト(破裂)したりする危険があります。
実は、ロードインデックスはタイヤの「体力」を示すものであり、正しい見方と空気圧のルールさえ知っていれば、誰でも安全にタイヤを選ぶことができます。
この記事では、LIの正しい調べ方から、早見表の見方、数値を変更した時のリスク、輸入タイヤ(XL規格)の注意点まで、初心者が絶対に失敗しないための判断基準を完全解説します。
ロードインデックス(LI)とは?

ロードインデックスとは、一言で表すと「タイヤがどれだけの重さに耐えられるか」を示す指標です。
この章では、ロードインデックスの基本的な意味と、空気圧との重要な関係を整理します。
以下より、詳しく解説します。
タイヤ1本が支えられる最大重量(kg)を示す指数がロードインデックス(LI)
結論として、ロードインデックス(LI)とは、規定の条件下でタイヤ1本あたりが安全に支えられる最大の重量(最大負荷能力)を示す「荷重指数」です。
タイヤ側面のサイズ表記の後に続く「91」や「87」といった数字がこれに該当します。
- 純正タイヤのLIと「同じ」数値を選ぶ
- 純正タイヤのLIを「上回る」数値を選ぶ
タイヤ交換の際は、このどちらかを守れば、車検の面でも安全面でも失敗することはありません。
LIが1ポイント違うだけで、タイヤが支えられる重さは数十キログラムも変わります。そのため、「たった1くらい低くても誤差だろう」という自己判断は非常に危険です。
参考 ロードインデックス(LI)とは ブリヂストン オンラインストア
ロードインデックスと空気圧の関係|負荷能力は空気圧で変わる
ロードインデックスの数字だけが大きくても、それだけで車を支えられるわけではありません。
タイヤという製品は、ゴムの強度ではなく、内部に密封された「空気の体積とその圧力」によって車の重さを支えています。
タイヤに指定された空気圧が入っていなければ、いかに高いLIを持つタイヤであっても本来の負荷能力(体力)を発揮できず、走行中の異常発熱からバースト(破裂)を招く危険があります。
負荷能力は「空気圧」という条件とセットで初めて成り立ちます。
そのため、最低でも1ヶ月に1度は、タイヤが冷えている状態で空気圧の点検を行うことが推奨されています。
また、後述する「XL規格」のように、同じサイズ・同じLIの数値であっても、製造規格が異なれば必要とされる空気圧が全く異なるケースもあるため、タイヤと空気圧は常にセットで管理する必要があります。
調べ方は2ステップ|ロードインデックスはどこを見る?

ロードインデックスは、タイヤの側面と車体のシールの2か所を確認することで、正確に把握できます。
ここでは、誤読を防ぐための確実な調べ方を整理します。
それでは、順番に詳しく見ていきましょう。
ステップ①|側面表記を写真で残して数字と記号を分ける
まずは、現在装着されているタイヤの側面(サイドウォール)を確認します。
サイズ表記(例 ⇒ 195/65R15)のすぐ近くに、数字とアルファベットが組み合わさった文字列(例 ⇒ 91H)が刻印されています。
しゃがんでメモを取ると読み間違えやすいため、まずはスマートフォン等で該当箇所を写真に撮っておくのが確実です。
写真を見ながら、サイズ表記の後に続く「数字」と「アルファベット」を切り分けて読み取ります。
この数字部分がロードインデックスを示しており、アルファベット部分が速度記号を示しています。
ステップ②|純正(指定)と照合してズレを把握する
次に、車が本来指定している「純正のタイヤサイズと空気圧」を確認します。
これは多くの場合、運転席側のドアを開けた内側(開口部)や、給油口の裏などに貼られた「空気圧表示シール」に記載されています。シールが見当たらない場合は、車の取扱説明書を確認してください。
中古車を購入した場合、前オーナーが純正とは異なる規格(XL規格など)のタイヤに交換している可能性があります。
ドアシールの記載は、あくまで「新車出荷時に装着されていた純正タイヤ」に対する適正値です。
現在履いているタイヤ側面の数値と、ドアシールに書かれた純正の数値を照らし合わせ、ズレがないかを必ずチェックしてください。
間違いやすい「速度記号」との違いと見分け方
ロードインデックスのすぐ後ろにあるアルファベットは、「速度記号(スピードシンボル)」と呼ばれます。
たとえば「195/65R15 91H」という表記の場合、構成は以下のようになります。
- 91(数字)⇒ ロードインデックス(重さに耐える能力)
- H(アルファベット)⇒ 速度記号(最高速度の限界)
速度記号は、規定の重さ(LIが示す最大負荷能力)を積載した状態で、安全に走行できる最高速度を示しています。
LIが「重さの限界」を示すのに対し、速度記号は「速度の限界」を示すという役割の違いを明確にしておいてください。
ロードインデックスと負荷能力の早見表
ロードインデックスの数字が、具体的に何kgの重さに耐えられるのかを示す早見表を用意しました。
ご自身のタイヤに刻印されている数字が、どの程度の重さを支えているのかの目安として確認してください。
| LI | 負荷能力(kg/本) | LI | 負荷能力(kg/本) |
| 80 | 450 | 96 | 710 |
| 81 | 462 | 97 | 730 |
| 82 | 475 | 98 | 750 |
| 83 | 487 | 99 | 775 |
| 84 | 500 | 100 | 800 |
| 85 | 515 | 101 | 825 |
| 86 | 530 | 102 | 850 |
| 87 | 545 | 103 | 875 |
| 88 | 560 | 104 | 900 |
| 89 | 580 | 105 | 925 |
| 90 | 600 | 106 | 950 |
| 91 | 615 | 107 | 975 |
| 92 | 630 | 108 | 1000 |
| 93 | 650 | 109 | 1030 |
| 94 | 670 | 110 | 1060 |
| 95 | 690 | 111 | 1090 |
上記はJATMA(日本自動車タイヤ協会)が公開している、乗用車で頻出する範囲の抜粋です。車検などの実務においても、この表に示された負荷能力の値が安全基準の基盤となります。
実際の車検や審査では、車検証に記載された前軸重や後軸重といった車両の重さに対して、この表から導き出されるタイヤの負荷能力が下回っていないかが厳しくチェックされます。
参考 Load Indexと負荷能力一覧表 JATMA(日本自動車タイヤ協会)
数値を変える(下げる・上げる)とどうなる?

欲しいタイヤのロードインデックスが純正タイヤと異なる場合、それが許容範囲なのかどうか迷う方は多いです。
この章では、数値を下げた場合のリスクと、上げた場合の影響を明確な判断基準として整理します。
以下より、詳細をお伝えします。
純正より「低い」数値を選ぶリスク|バーストと車検落ち
結論として、純正タイヤよりもロードインデックスの数値を下げることは、絶対に行ってはいけないNG行動です。
数値を下げるということは、「車の重さや乗員の体重に、タイヤが耐えられない状態」になることを意味します。
タイヤが重さを支えきれなくなると、走行中にタイヤが異常にたわみ、過剰な熱を持ちます。これが原因でタイヤの内部構造が破壊され、走行中のバースト(破裂)という大事故につながる危険性が極めて高くなります。
また、車検の審査事務規程でも「タイヤに加わる荷重はタイヤの負荷能力以下であること」と明確に定められています。
純正の負荷能力を下回るタイヤを装着した場合、保安基準を満たさず車検に通らなくなるため、数値を下げる選択肢は排除してください。
純正より「高い」数値を選ぶメリットと注意点
逆に、純正タイヤよりもロードインデックスの数値を「上げる」ことに関しては、安全面でも車検の面でも全く問題なく使用できます。
タイヤの体力に余裕ができるため、インチアップを行う際などは、必然的に同等以上のLIを持つタイヤを選ぶことになります。
タイヤ内部の骨格(カーカス)が強固に作られているため、タイヤの無駄なヨレが減り、高速走行時やコーナリングでのハンドリングが安定しやすくなります。
ただし、強度が増すことによるトレードオフ(悪化要因)も存在します。
タイヤのクッション性が低下し骨格が硬くなるため、路面の凹凸を拾いやすくなり、乗り心地が少しゴツゴツと感じられたり、ロードノイズが増加したりする傾向があります。
また、LIが高いタイヤを履いたからといって、車体に積載できる荷物の最大量(最大積載量)が増えるわけではありません。
輸入タイヤに多い「XL規格」は空気圧の再計算が必須

インターネット通販などで安価なアジアンタイヤやインチアップ用のタイヤを購入すると、サイズの末尾に「XL」と表記されていることがよくあります。
この場合、単にLIの数値だけでなく「空気圧」の絶対的なルールが変わるため、確実な対処が必要です。
これから、各ポイントについて詳しく見ていきましょう。
XL規格(エクストラロード)とは何か
XL規格(エクストラロード規格)、またはRF(レインフォースド規格)とは、日本の標準規格(JATMA)よりも高い空気圧を入れることで、より重い車体を支えられるように設計されたヨーロッパ基準のタイヤを指します。
同じサイズ表記のタイヤであっても、内部構造の頑丈さが根本的に異なります。
- JATMA規格(日本)⇒ 一般的な空気圧(例 ⇒ 240kPa程度)で最大の負荷能力を発揮する標準的な構造。
- ETRTO XL規格(欧州)⇒ 空気を入れる容積が減るインチアップ時などに、より高い空気圧(最大290kPa程度)を安全に充填し、重さを支えられるよう内部を強化した構造。
つまりXL規格は、高い圧力をかけて初めて本来の強さを発揮できる「強固な器」として作られています。
参考 XL(エクストラロード)規格について 日本グッドイヤー
規定の空気圧を高めに入れないと「強度不足」で危険
XL規格のタイヤを購入した場合、車の運転席ドアに貼られている「純正の指定空気圧」の数値をそのまま入れてはいけません。
同じ空気圧を充填した場合、内部構造が硬いXL規格のタイヤのほうが、標準規格のタイヤよりも負荷能力(支えられる重さ)が小さくなってしまうという物理的な特性があるためです。
ドアシールの数値を盲信してXL規格にそのまま空気を入れると、深刻な空気圧不足(強度不足)に陥り、偏摩耗や燃費悪化、最悪の場合は車検不適合やバーストの原因になります。
純正のタイヤが発揮していた負荷能力(kg)をXL規格のタイヤで維持するためには、専用の換算表を用いて「XL規格用のより高い空気圧」を再計算し、充填し直す必要があります。
空気圧が不足分を補うとはいえ、バルブの耐圧限界などから上限は290kPa程度となるため、自己流で適当に高圧にするのは避けてください。
タイヤを購入した店舗や専門店に依頼し、必ずプロの目で適正な空気圧を再計算してもらうことが、安全に乗るための必須条件となります。
車検を通すための「許容範囲」と発注前の最終チェック

ここまでの知識をふまえ、購入ボタンを押す前に「このタイヤで車検に通るか・安全か」を自分自身で確定させるための最終的な判断軸をまとめます。
以下より、各項目について具体的に説明します。
車検では純正の負荷能力(kg)を下回らないことが重要
車検の審査において、検査官が最も重視しているのはロードインデックスの「数字」そのものではなく、「タイヤにかかる重さに対して、負荷能力(kg)が下回っていないか」という点です。
つまり、適正な空気圧を入れた時に、純正タイヤと同じ重さ(kg)を支えられるかどうかが、車検に通るための許容範囲となります。
- 標準規格同士の交換 ⇒ 純正と同じか、それ以上のLI数値であれば適合する
- XL規格への交換 ⇒ LIの数字が変わっても、空気圧調整で純正以上の負荷能力(kg)を確保できれば適合する
このように、規格の違いによってLIの数字が変化したとしても、最終的な負荷能力(体力)の計算値が純正を下回らなければ問題ありません。
迷った場合は、タイヤ販売店で「純正と同じ重さに耐えられるタイヤと空気圧の設定にしてほしい」と伝えるのが最も確実です。
商用車・軽バン系の注意点|乗用の感覚で選ぶとズレやすい
軽トラックや軽バンなどの商用車は、荷物を満載にすることを前提としているため、乗用車とはタイヤに対する前提条件が根本的に異なります。
商用車のタイヤには、乗用車と同じようなサイズ表記であっても「LT(ライトトラック)」や「PR(プライレーティング)」、近年では「80/78N」といった特有の規格表記が指定されています。
サイズが同じで安価だからといって、商用車に乗用車用タイヤ(LIの数字のみの表記)を装着すると、最大積載時の負荷能力が決定的に不足し、車検不適合となるケースが極めて多いです。
車中泊やアウトドア目的で軽バンを個人的に乗る場合でも、車検証上の用途が変わっていなければ、商用車としての厳しい荷重基準が適用されます。
重大なバースト事故を防ぐためにも、必ず商用系の追加表記(LTやCなど)と用途をセットで確認してタイヤを選んでください。
発注前のメモ作り|失敗を防ぐ具体的な手順
インターネット通販などでタイヤを購入する前に、手元に一枚のメモを用意するだけで、初心者の適合ミスは完全に防ぐことができます。
頭の中で記憶するのではなく、必ず紙に書き出してから比較を行ってください。
- 純正の「サイズ」「LI」「速度記号」をすべて書き出す
- 欲しいタイヤの数値が、メモした純正の数値を下回っていないか突き合わせる
- XL規格を選ぶ場合は、空気圧の再計算が必要だと追記しておく
このシンプルな手順を踏むだけで、「買ったのに車検に通らない」「サイズは合っているのに強度が足りない」といったトラブルを未然に防げます。
まとめ

ロードインデックス(LI)は、車の重さを安全に支えるためのタイヤの「体力」を示す重要な数字です。
この数値を純正と同じか、それ以上を選ぶというルールを守れば、適合ミスや車検落ちを確実に防ぐことができます。最後に、この記事の判断軸を整理します。
- まずは必ず運転席ドアの空気圧シールで「純正のLI」を確認する
- 純正よりLIが「低い」タイヤは買わない(車検不適合やバーストの危険)
- 純正よりLIが「高い」タイヤは強度に余裕ができるため問題なく使える
- 「XL」と書かれたタイヤを買う場合は、空気圧を高めに設定し直す
タイヤ選びの第一歩は、ご自身の車が求めている正確な基準を知ることです。
まずは今すぐ車の運転席ドアを開け、シールに書かれているタイヤサイズとロードインデックスの数値をスマートフォンで撮影することから始めてみてください。


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